Emma Watson Interview in Parade Magazine

もう2週間前のネタですが、7/8日曜のParadeというアメリカで販売されているほとんどの新聞に折込広告の一部として無料配布される雑誌にハリーポッターでお馴染みのエマ・ワトソンのインタビューが掲載されていた。ほとんどこの雑誌は読まないことが多いんですが、副題に「most famous geek」とあったのでつい目を通してしまった。

Emma Watson Interview in Parade Magazine

読んでみると何のことはない、見かけとは裏腹にgeekとは程遠いということらしい。でも、もう大金も手にしたし、あくせく働く必要はないことを認めつつも、きちんと学校に通うことを優先しているそうで、金が入ったから勉強しないというのではなく、なかなかしっかりしているという印象を受けました。両親も離婚はしているものの二人とも弁護士で芸能関係にからむ気は毛頭ないそうで、その辺も影響しているんでしょうけど、やっぱりハリーポッターでの役柄がもっと影響しているような気がします。

もうすぐ映画公開と最終話となる本の発売を控えてマーケティングがすごいですね。と、ただこれだけで終わるとただのミーハー話題で終わってしまうので、最近ハリーポッターについて思ったことを書きたいと思います。

ハリーポッターは割と好きな方だったのですが、Press Democratのある記事を数ヶ月程前に読んでいたときに、とあるライターがJ K Rowlingが社会主義の啓蒙にハリーポッターを利用しているみたいなことをちらっと書いていて、非常に気になったんです。今のローマ法王がハリポタ本に警告を発していたときに、ローマ法王もたかが魔術モノに目くじら立てるというのも大人気ないなぁなどと単純に思っていたのですが、もしかしてこれと関係あるのかなと気になり調べました。

J.K. Rowling and Mitford (from Jessica Mitford in Wikipedia)

詳細は、上記のリンクあたりから辿っていくと色々と情報が散在しているのがわかります。Rowlingは、パリに留学していたこともあり社会主義に傾倒していたフシがあり、自分の境遇などと重ね合わせたのかJessica Mitfordという共産主義者の作家に大きな影響を受けたようです。ただ、Mitfordは過激派ではなかったようで、後にアメリカ共産党から脱党手続きをしているようですので、暴力革命礼賛者というわけではなさそうです。Rowlingは、2002年にもはっきりとMitfordが一番影響を受けた作家で自分のヒーローだと言っているので、昔はそうだったけど今は違うというわけでもないようです。

確かにそういう目で見直してみると、富裕層で太った豚であるおじさんにいじめられる金のない弱者ポッター少年が魔法でやり込める(資本家や金持ち否定)部分や、大人はいつも信用できるとは限らない存在(既存の権威を失墜させる)とか、ドビーとかいう召使いとして蹂躙されているのをポッターが魔法で解放してあげる(労働者階級の解放)くだり等、共産革命を正当化する論理と似たような論理展開と言えなくもないのかなという気もしないでもないですよね。まあ、私は今のところそれほど気にはならないですが、確かにこういうのを子供に読ませるときには、若干の注意は必要かも知れません。少なくとも作者の背景に、そういうはっきりとした思想があって書かれたものであることは知っておくべきでしょう。その上で、本当にその内容がいいのか悪いのかを判断し、話し合うことで、色々と物事の見方が深めることが大切だと思います。

まあ、そうやって考えてみると、ヨハネパウロは南米の解放神学と闘ったことで有名ですが、その行動を共に支えていた今のローマ法王も、共産主義関係のことには敏感で、だけどやたら売れまくっている人気小説が危険思想が背景だと真っ向から言及することも得策ではないと考えたのかどうかわかりませんが、遠まわしに牽制球を送ったというところなんでしょうか。とにかく、ある程度のレベルの人のやることには、何らかの意味があるもんだなと妙に感心してしまったのです。ということで、ハリーポッターは別な意味でも奥があるというお話でした。

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