Mail-in-rebate

かなり誇張された感じがする記事を読んだので、ちょっとコメントです。

永久に受け取れない「特売の割引金」

記事を要約すると米国の小売業者はメール・イン・リベートという仕組みを悪用して不当に利益を上げている疑いが強いという話です。この記事を書いている方は、ご自分のノートパソコンを$150のリベートがついているので購入したもののなかなか$150の小切手が送られてこないので、かなりイラついた状態でこの内容を執筆しているものと思われ、色々とデータを集めて提示しているもののかなりバイアスがかかっているように見えます。

そもそも、法律の枠組みから逸脱しない限りは「詐欺」と呼ぶのは不適切だと思います。仕組みがわざと複雑にしてあってハードルを高くすることで、一般の平均的アメリカ人は日本人ほど細かな事務は不得意なのでリベートを合法的に渡さなくて済むことを狙っているのは確かにそうかも知れません。それでもその仕組みで購入を決めるのは購買者の決断次第で、その仕組みが嫌なら別な場所で買えばいいわけですし、いくら複雑と言っても書いてある条件をすべて満たすことがほとんど不可能というほど複雑ではありません。まあ、とにかくこの方はかなり感情的になった状態で記事を書いているようなので、日本在住の方でこの記事を読んだ場合、アメリカはそんなにひどいやり方をしてまで儲け主義なのかという印象を受けるかも知れませんが、私の比較で言えば日本の小売価格の設定の方がもっとひどいです。例えば、日本メーカーの同じ製品が日本では米国の価格よりもかなり高く設定されているものが沢山あります(特に、大型テレビやコンピュータ関係)。製造は日本やその近辺で行っているのにも関わらず日本の方が高く売れるから高いんだと思っています。それに比べて、少しでも安いものを買おうとする消費者が中心の米国市場では、熾烈な価格競争が日常茶飯事ですから、仕入れぎりぎりまで下げての価格設定になりやすく、それを少しでも和らげるための苦肉のリベート戦略であると思います。確かにリベートがかなり流行った5~6年ぐらい前の状況では、この記事に指摘されているような明らかに最初から返金する気のないように見える製造業者がいたと思います(あるいは、返金する前に倒産してしまうような弱小メーカもあります)が、最近は消費者も学習してきており、そういうケースはかなり減少しているというのが私の実感です。リベートを問題視している議員さんがいるとのことですが、その方が引いてきているデータっていつごろのものなんでしょう。

実際、私がこの2~3年で請求したメール・イン・リベートは、ほぼ100%、小切手を受け取っています。私の場合は、確率を高めるために、$40以上の返金額の場合は、必ず配達証明付きで送ります。配達証明に約$3弱かかるので、$40で線を引いて、それ以下の場合は、 目をつぶってだめなときは諦めるという気で普通に送ります。いずれの場合も控えなどは必ずすべてとっておき、オンラインで提出できる場合は、出来る限りそちらを使います。このようにして、電話をかけないといけなかったのは一回だけです。最も早いのはマイクロソフトで数週間で小切手が送ってきたこともあります。でも、最近はリベートは面倒な割には節約金額が大したことないので、できるだけリベートなしで納得できる価格に落ちてから購入する方を選択しています。それでだいぶ時間が節約できますので。

それから、うまい具合に先週、ご自分のMail-in-rebateを小まめにトラックされている殊勝な方を見かけたので、これもいい例だと思いますので参考までにリンクしておきます。

http://kazuomik.livejournal.com/59760.html

この方の場合、今年の2月、3月に購入した物品のリベートはすべて小切手受信済みになっています(催促などなし)。その後も更にトラックを継続されているようで、上記ページから最新のものまで一覧することができます。概ね3ヶ月以内に特に催促することなく小切手が送られてきていることが見て取れます。

もし、上記の記事を読んで日本の方がずっと公正だと錯覚させられた方がいらっしゃいましたら、大変な思い違いです。日本の方が守られている部分も多少はあると思いますが、ざっと言って、米国の方が(特にカリフォルニア州)、はるかに消費者保護が進んでいますので、どうぞ思い違いされないように。「詐欺」や詐欺まがいの商法は、米国にも沢山あるのは事実ですが、それは日本でも同じであって、メール・イン・リベートがそれらと同列に議論されるのには、ちょっと違和感があります。

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2 Responses to Mail-in-rebate

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